従来の常識にとらわれず、新しい試みに積極的にチャレンジする山口県の旭酒造が造り出す「獺祭(だっさい)」。 獺祭の「獺」とはカワウソのこと。カワウソは捕らえた魚を岸に並べる習性があり、その姿はお祭りをしているようにみえるとか。その様子は詩や文をつくる際、多くの参考資料等を広げちらす様子と共通することから、「獺祭」とは書物や資料などを散らかしている様子を意味します。
正岡子規は自らを獺祭書屋主人と号していたとの事ですが、日本文学に革命をもたらした正岡子規のように、変革と革新の中からより優れた酒を創り出そうという志と、地元の地名「獺越」にも「獺」の文字があることから「獺祭」という酒名がつけられました。
早くから杜氏制を廃止し、年中真冬の温度を再現できる空調設備を備え、業界初の遠心分離器を採用するなど、小さな酒蔵ながら新しい試みを積極的に行っている蔵元です。
「獺祭(だっさい)」の名前の後ろについている数字は精米歩合を表します。例えば、磨き二割三分ならば原料米を23%の大きさにまで削って醸しています。 さらに、獺祭は全品「純米造り」。仕上げにアルコールを添加して香りをつける蔵が多い中、水・米・米麹以外は一切使いません。技術だけで獺祭の香味は醸され続けているのです。
精米歩合が23%。長い間、「日本一の高精米」と言われてきたお酒です。77%を磨き取り、芯の部分の23%を使用しています。
グラスから上立つ香りは豊か、果実というより花のような甘い香り。口当たりは非常に淡麗、舌の上を滑り、しみ込むように喉に流れる感覚は水のようです。最後にフワリとした香りの広がりを残します。雑味は全くなく、清らかな酒の泉を思わせる酒です。